令和2年度教員養成機関等との連携による小学校外国語の専門人材育成?確保事業(第3回講座)
本講座は令和2年10月から12月にわたり、全5回実施しました。下記は第3回講座アーカイブになります。
第3回講座 11月25日(水)15:00~16:30 Small Talk の実際とデジタル教科書への接続
明海大学
教職課程センター?地域学校教育センター
教授 石鍋浩
外国語学部英米語学科
講師 前田隆子
講座内容
本年度から始まった外国語科および外国語活動におけるSmall Talkの実際と教科書のより効果的な使い方を知ることができる内容とする。なお、講師によるMicro Teaching(Small Talkや必然的なActivityなどを含む)を実施する。講座の中で、講師と受講者とのやり取りを随時行う(ワークショップ型)。
講座前のタスク
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『小学校外国語活動?外国語研修ガイドブック』(平成29年7月文部科学省作成)のSmall Talkの部分(pp.84-85, pp.130-134)を読んでおきましょう。
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We can! 1 UNIT 8 What would you like? または We can! 2 UNIT 4 I like my town.のいずれかでどのようなSmall Talk をするかを考えておいてください。
講座の中の「チャレンジタイム」で先生方に実践していただきます。
現在実際に使用している教科書で同じような内容があれば、その内容に対するSmall Talk でも構いません。
講座アーカイブ動画
講座書き起こし原稿
※講座内でご覧いただいた文部科学省の動画「小学校の外国語教育はこう変わる!⑦ ?Small Talkの進め方?」についてはリンクから参照ください。
講座中に使用した資料
講座で使用した動画
資料動画「小学校の外国語教育はこう変わる!⑦ ?Small Talkの進め方?」
資料動画「Small talkの対話方略を学ぶ前」
資料動画「Small talkの対話方略を学んだ後」
動画に協力してくださった明海大学外国語学部英米
教師役:
及川 龍之介
児童役:
君塚 翔伍、佐藤 向日葵、佐保 翼、鈴木 歩、関野 玲佳、高橋 凜、横田 裕哉(敬称略)
講座後のタスク
講座で研修したことを取り入れたSmall Talk を授業で実践しましょう。その成果や課題について他の先生と話し合いをしてください。
講座実施後のリフレクションシートにおける質問と回答
Small Talkや「やり取り」で会話の流れを示すためにカードを使うことがあります。流れを知るのにはよいのですが、英語を読むのが苦手な子どもには負担が大きいです(もちろん、各時間で十分な練習時間はとっています)。
カードを全部読むことは求めず、ヒントとなるように使いましょう。
また英語を読めるようになるには、英語の音声に十分に慣れ親しむ必要があります。読むことに苦手意識がある子どもには、まずはやり取りのキーワードになる部分だけでも発話し、流れに慣れてきたところで、少しずつ長い文を言えるように練習するとよいでしょう。
ジェスチャーが大切だと言われているが、日本人の文化の中ではジェスチャーを使うことはあまりなく、外国でもそこまで多用していない気がするがなぜ必要なのだろうか。
日本文化の中にもジェスチャーはあります。例えば、「こっちへ来て」と言うときに手招きしたり、「結構です」と断るときに顔の前で手を振ったりします。
英語の授業では、児童にヒントを与える際にジェスチャーで示してはいかがでしょうか。もちろんあまり大げさなジェスチャーをする必要はありません。身振り、手振り、表情といった非言語的なやり取りも立派なコミュニケーションなので、是非授業の中で使ってみてください。
映像の中で“Let’s talk about~”で子供たちが対話を始めていましたが、子供たちはあそこから英語のみで話せるのでしょうか。表現のヒントが少なかったように感じましたが、6学年という発達段階ならどのクラスでも可能なことなのか、それともあのクラスが特別なことをしているのか、どちらでしょうか。
講座では、文科省チャンネルの映像は冒頭約4分のみを見ていただきましたが、続きを見ると、子供たちが全て英語で話せているわけではありません。担任の先生も、「わからない表現はあとでALTの先生に聞いてみよう」と日本語でアドバイスしています。
また、児童同士でやり取りをする前に、ALTの先生の冬休みの過ごし方を英語で復習していましたので、その中で表現を繰り返し練習することが、その後の児童のSmall Talkに役立っています。
インプットは音で入れるが基本だと思っていたのですが、英単語を文字にして見せたほうが良いのでしょうか。
もちろん、音声でインプットすることが基本となりますが、日頃から英語の文字を目にする機会が多いことは、よいことだと思います。音声を中心としながら、文字に触れられるとよいでしょう。
また、絵カードに文字を入れておくと、文字に興味がある児童は自然と文字に慣れ親しむことができます。しかし、小学校段階では単語のスペルを覚えて書くという必要はないので、「この英単語を書けるようになろう」というような明示的な指導をする必要はありません。
拠点校の先生からも質問がありましたが、児童によって英語力の差が大きいというのはどの学校でも同じだと思います。その場合、課題設定の難易度などが難しくなってくると思います。そういう場合は、どのように授業を組んでいけばよいでしょうか。
仰るとおり、児童の英語力には多様性があると思います。何事も小さなステップを踏んでいくことが重要です。少しずつインプットとアウトプットをさせて、基本の英文に当てはめて自分の言いたいことを言ってみる。もしくは似たような既習表現を探して、言ってみる。このステップを踏んで、子供が進歩したらほめる。このような個別の支援が重要だと考えます。
英語が苦手な児童には、まずは日本語でもいいから言いたいことを言わせて、それを学習したい文に合わせて、少しずつ単語を入れていくようなステップを踏んではいかがでしょうか。英語が得意な児童には、クラスメイトを助ける役割を与えてもいいでしょう。
スモールトークをしていて、児童が理解していないときに、日本語で説明をしたくなるが、しないほうがいいのか。
無理にAll Englishでなくてもよいと思います。
ただし、対話方略の繰り返しや確かめ、他にもジェスチャーや言い換えなどを活用して出来るだけ英語でやり取りしてみましょう。その後どうしても抽象的な表現があり、理解がむずかしいという場合には、その表現を日本語にしてSmall Talkの途中に入れてみてはいかがでしょうか。
例えば、We Can! 1のUnit 7 “Where is the treasure?” の導入のSmall Talkで、先生の宝物を写した写真を手に持って、”Look at this picture. These are my treasures. 私が大切にしているものですよ。My diary, my watch, and my family pictures. What is your treasure?“ のように、日本語を途中に挟んでもよいと思います。
子どもたち同士でスモールトークをしていると、続かない場合があり、日本語で話してしまっている。その場合どうしたらいいのか。
子どもたちが日本語で話してしまうのは、まだ英語での発話に自信が無いということも一因だと思います。十分にインプットをして、言いたいことを整理させ、短い文、もしくは単語だけでもいいから言ってみましょう、と発話を促してはいかがでしょうか。
また完全に言えなくても言おうとする態度をほめて、児童の意欲が継続するようにすることも大切です。
小学校4年生でもスモールトークをどんどん活用していいのでしょうか。
はい、もちろん結構です。
中学年でも特にインプットを中心としたSmall Talkを積極的に活用できると思います。先生がなさったSmall Talkの内容をクイズ形式で確認するようになると、英語を聞く態度も育つと思います。
私は例示されたYouTubeの動画の会話すら理解できなかったので、どうしようもないのですが、例えば中学校1年生の現状をふまえた上で“Small Talk”の活動を導入しているのでしょうか。今日練習したトークを実行できるほどの語彙力を子どもは持ち合わせていないと思うのです。文科省肝いりの学校の「すばらしい実践」をみれば「すごい」と思いますが、あのぐらいを想定されるのであれば、ぜひ英語専科を導入してほしいです。
中学校との接続を意識することはもちろん重要ですが、その前段として、既習事項を定着させたり、英語のやりとりの経験を積むためにSmall Talkを導入しています。
確かに、文科省チャンネルで見た活動事例は本当に素晴らしいと思いますが、今回学んだ対話方略を活用すれば、すこしずつ長いやり取りが出来るようになると思います。その際教師は、できるだけ児童をほめて、もっとしゃべりたくなる仕掛けを作るとよいと思います。